がん検診で引っかかり胃カメラを飲むことになった。
以前若い頃に飲んだことがあったが、ぜんぜん苦しくも無くスル~と喉を通過して拍子抜けするくらい楽勝で終わった記憶がある。
だから今回も気負いは無くコンビニでも行って来るような気分で来院した。
カメラの施術室入口は番号のついた複数の扉が有るものの中では一緒の広い部屋になる。
カーテン一枚隔てた隣のベットでは「オェ~ゴホゴホ!」初めて飲む人をビビらせるには十分な効果音が聞こえてくる。
(大げさだな~)
先っちょが青白く光るホースの横に寝かされる。
(昔のより太くないか?)
「はい!では頑張りましょうね」
若い医師が挨拶と共に励ましとも取れる言葉をかけてきた。
(おいおい!僕が頑張るのか?頑張らなければならないほど大変なのか?)
おしゃぶりみたいなモノをくわえさせられ光るホースが入っていく…
「オェ~ウゴウゴ」
思いっきり吐き気がする。
(苦るじぃ~!麻酔効いてんのかよ。チョチョットタイム!)
もちろん心の叫びは聞こえるはずも無く淡々と作業は進んでいく。
お腹の中でホースがあちこちに当たっているのが分かる。
「ゲップ~!」
「ゲップは我慢しましょうね。そうすれば早く終わりますよ」
看護師さんがトントントンとリズムカルに背中を叩いてくれている。
これって最近被災地で良くやられている精神安定効果の有る行為らしいがイマイチ落ち着かない。
僕には背中をス~ッとさすってくれる方がリラックスできるんだけど…
「若い人は胃の動きが活発なのでゲップが出やすいんですよ」
50を目前にしてチョット嬉しいコメント。
「この辺が白くなっていますね。これは胃壁が薄くなってきているもので老化現象の一つですから心配はいりませんよ」
(もしもし?さっき若いって言ってたじゃん!)
内臓は正直だ。
やっとホースが抜かれ、ヨダレと涙でぐじゅぐじゅの(>_<)を拭いてると
「良く頑張りましたね。どこにも異常は無いですよ」
何にも無かったのは嬉しいけど…ヘトヘトになった。
若い医師に
(頑張るのはキミのほうだ。もっと練習してこいよ)
と、暖かい捨てゼリフを心の中で吐き捨てヨタヨタと帰宅した。